むくみ(浮腫) 肺水腫、胸腹水貯留を含めて
人の体を構成する成分の中に占める水分量は実に全体の約50〜70%に及びます。このうち血管の中を循環する血漿成分が約3分の1を占めます。60㎏の体重のひとで約10〜15㎏に相当する量です。残りの3分の2は細胞内にあるわけですが、血管内でも、細胞内でもない空間が組織間質と呼ばれます。むくみはこの間質に滲み出た水分です。指で押すと凹(へこみ)ができて、なかなか消えない。夕方に、靴下のゴム跡が残る。体重が1日に2㎏以上増えるなどが症状の特徴です。胸膜腔にたまったものを胸水、とくに急激に貯留し呼吸不全を伴うものを肺水腫、腹腔内にたまったものを腹水と呼びます。
健康な状態では浮腫はほとんど生じません。心臓病、腎不全、糸球体腎炎やネフローゼ症候群、肝硬変症などの全身性の浮腫を生じる病気があります。脚の浮腫では深部静脈血栓症という静脈の病気があります。栄養状態を含め、綿密な診察に基づき、心臓超音波検査・腹部エコー検査や腎機能検査を駆使し、病因を解明して参ります。